パワーワンストップの技術1 一般的な鉛バッテリーの比較

「リン酸鉄」リチウムイオンバッテリーと一般的な鉛バッテリーの違いとは?

一般的な鉛バッテリーP1Sのリン酸鉄リチウムイオンバッテリー
材料正極板に二酸化鉛(PbO2)、
負極板に海綿状鉛(Pb)、
電解液に希硫酸(H2SO4)
正極に「リン酸鉄」、
負極に炭素系素材、
電解液にリン酸鉄リチウム
エネルギー密度高い(約25〜50Wh/kg)低い(約160Wh/kg)
重量重い軽い
始動性物理的な限界あり(低出力)高い(高出力)
安全性電解液に注意が必要発火・爆発リスクが低い
充放電サイクル約300~500回程度約2,000~

材料
鉛バッテリーは、正極板に二酸化鉛(PbO2)、負極板に海綿状鉛(Pb)、電解液に希硫酸(H2SO4)を使用しています。
パワーワンストップのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーは正極に「リン酸鉄」、負極に炭素系素材、電解液にリン酸鉄リチウムを使用しております。
リン酸鉄、炭素などは有害物質を含まず環境への影響も非常に少ない材料であり、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも注目されています。

エネルギー密度
エネルギー密度は、質量あたりのエネルギー量を指します。
鉛バッテリーのエネルギー密度は約25〜50Wh/kg、リン酸鉄リチウムイオンのエネルギー密度は約160Wh/kgです。
同サイズの場合、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーより多くのエネルギーを蓄えることが可能であるため鉛バッテリーよりもコンパクト、省スペースで同等のエネルギーを得ることが出来ます。

重量
エネルギー密度の違いからリン酸鉄リチウムイオンバッテリーは非常に軽量コンパクトな設計が可能となります。
適合バッテリーによりますが、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーの概ね1/4~1/3程度の重量となり非常に軽量です。

始動性
鉛バッテリーは低出力特性でありエンジン始動時に必要な高電流を供給するには構造的、物理的な限界がある場合があります。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは高出力特性であるためエンジン始動時に必要な高電流を供給できるため、始動性が高い傾向にあります。

安全性
鉛蓄電池の内部には希硫酸(水で薄めた硫酸)が充填されています。希硫酸は皮膚に触れると炎症を起こす可能性があり、目に入ると重症化する恐れがあります。取り扱いには十分注意が必要です。

リン酸鉄リチウムイオンの正極に使用されるリン酸鉄ですが、リンと酸素の結合が強いため、約700℃まで結晶構造崩壊による酸素放出、熱分解が起こりにくい材料です。(リチウムイオンは約200℃で熱分解が起こります)
「リチウムイオンバッテリー」と聞くと高温での発火や爆発などのリスクがご不安な方もいらっしゃるかも知れませんが、「リン酸鉄」リチウムイオンバッテリーは過充電/過放電、高温となる環境下において高い耐久性があるとともに短絡不良の際にも「発火や爆発のリスクが非常に低い」という特徴があります。

充放電サイクル
一般的にバッテリーに電気の残量が全くない0%の状態から満タンの100%まで充電し、その後に0%まで放電する流れを「1サイクル」と定義されています。

鉛バッテリーのサイクル回数は約300~500回程度とされています。
加えて鉛バッテリーは放電深度も寿命に大きな影響を与えます。(残量0%となるような深い放電を頻繁に行うと寿命は短縮しやすくなります)

リン酸鉄リチウムイオンの充放電サイクルは2,000回~と高寿命である点が特徴です。